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嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾!


 世の中には何かを選ぶ必要が常につきまとっていて、しかもどちらかを犠牲にしなければならない決断を要される時すらあります。そういう事態を前に、何を、どうやって選ぶのか?

 と、いきなり重い話から入りましたが、これこそが『嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾!』のテーゼだったと思います。劇場版第15作品目の記念すべきの物語。そこでフィーチャーされたのは、野原家を影に日向に支える名犬・シロです。ナイスアシストとしての活躍が随所で見られるシロですが、今回はとんでもない目に遭ってしまいます。なんと、宇宙から飛来した謎の爆弾が付着してしまうのです。

 この爆弾をめぐって、宇宙監視センター(通称・《UNTI》)とテロリスト軍団・《ひなげし歌劇団》が野原家に襲来。未知のテクノロジーで構成されている爆弾は、現代科学ではシロから取り外すことが出来ず、間違って爆発すれば地球が木っ端微塵になってしまうという脅威の代物でした。UNTIは地球の平和のため、ひなげし歌劇団は自らの野望のため、シロを奪おうとします。野原一家は地球の危機と聞いて、シロとの別れもやむなしか、と諦めかけます。そう、しんちゃんを除いては。

 自分が拾って一緒に育った、大事な家族の一員であるシロ。それをしんちゃんは守り通そうと、共に逃げるのです。UNTIとひなげし歌劇団の追跡の手を必死にかわし、夜の街をひた走ります。しんちゃんとシロの絆の深さを改めて実感させるこの逃走劇はとても切なく、それだけにうつくしい演出で染め上げられて、心憎いです。

 世界の平和か、シロか。常識で考えれば、比べるまでもありません。でも、しんちゃんは迷いなくシロを選びます。その揺らぐことのない決断が、とても深く心に突き刺さります。自分の大事な何かを諦め、大局を選ばざるを得なかった経験をしてきた社会人であれば、余計に。そうして、大切なものを譲らず、最後まで粘り強く諦めなかった者にだけ幸運は微笑むのだ、というラストは、救いのあるものでした。

 と、シリアスになりがちな展開ですがそこはクレしん。ばっちりギャグの方もスパイスが利いています。特に、今回表の悪役であるひなげし歌劇団が高速道路でトレーラー劇場を開幕し歌いだすシーンは必見です。〝歌う〟、と副題にあるとおり、野原一家がミュージカル調で歌ったりするのも心温まる一幕でした。ゲストキャラが助けてくれず、四方が敵だらけ、という緊迫した空気感も見物。なによりシロがかわいい! 犬好きの方はハンカチをどうぞお忘れなく。


以下、ネタバレを含む個人的なアレコレ(反転)

 なかなか、ムトウ監督の皮肉な視線が利いた物語だなぁと(今回脚本が別(やすみ哲夫氏)なのでそちらかもしれんけど)。UNTIのCAP・時雨院は「LOVE AND PEACE」と口にするも大を救うために小を切り捨てるのに躊躇いなく(そしてその流儀は独善的なものであり)、味方ポジションと見せかけて実質敵。シロを打ち上げるロケットに添えられたのが、素っ気ない添え書きの書かれた缶のドッグフード(しかも開封されていない)であったりすることからも、目的より手段が大事なのがよく伺えます。また、表向きの敵であるひなげし歌劇団は支離滅裂なお題目を掲げているテロリストで、美を謳っているものの、アップに寄る場面ではどこか恐ろしく描かれていて、内実の醜悪さを示唆している。唯一、ゲストキャラの中ではUNTIのゴリラ隊員とカバ隊員だけが野原一家に同情の意を表していて(ゴリさん丁寧語なの惚れてしまう……)良心的存在なんだけど、残念ながら時雨院の抑止力にはならず、という。どこにも逃げ場なんてない。現実なんてこんなもの、などという怨嗟が聞こえんばかりです。

 そんな敵だらけの中、無力な一般市民である野原一家が最後まで諦めず粘る、というのがケツだけ爆弾のいいところなんだよなぁ……こんなのめちゃくちゃ感動狙いの作品で、そういうのには意地でも泣いてやるもんかって思っているんですが、やっぱシロは卑怯です……しんちゃんとシロの絆の深さに、泣いてしまうわ……。

 惜しむらくは、アミーゴの時と同様ややテンポが悪いこと。もう少しシーン整理すればなぁ。監督のやりたいことやるのは大事なことなんですが。ケツだけ爆弾を踏まえてのムトウ監督第4作、やっぱり観てみたかったです。



【25周年おめでとう!】
『映画 クレヨンしんちゃん』を勝手に振り返ってオススメしてみた。

◆目次◆
(4/1以降1日1ページ分開放されます)

-まえがき-
ヘンダーランドの大冒険
暗黒タマタマ大追跡
電撃!ブタのヒヅメ大作戦
嵐を呼ぶジャングル
嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 
伝説を呼ぶ踊れ!アミーゴ! 
嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾! 
嵐を呼ぶ 黄金のスパイ大作戦 
嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス 
バカうまっ!B級グルメサバイバル!! 
オラの引越し物語 サボテン大襲撃 
-あとがき- 


おねショタ 創作小説 オリジナル ファンタジー
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当ブログ及び小説家になろうにて、『ミス・アンダーソンの安穏なる日々』『八奈結び商店街を歩いてみれば』を連載しました。前者はおねショタ小説で、2017年7月に電撃文庫より刊行されました(無敵の女傭兵ミス・アンダーソンを抹殺すべく派遣された羊ショタ執事悪魔(レベル1)のどたばたコメディ)。後者は大阪のどっかにある商店街が舞台のなにわ人情お約束劇です。

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