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【2017年】

エイプリルフール記念 

八奈結び商店街を歩いてみれば×

ミス・アンダーソンの安穏なる日々 

セルフクロスオーバーパロディ 

前編


はっじまーるよー。


というわけで今年もこりずに書きました。
詳しい設定とかは去年の見て頂ければと思うんですが、
ざっくりいうとやなればの世界にアン安のキャラがいたら? というお遊びです。
アン安のキャラはやなれば側に合わせて色々変わってます(年齢とか職業とか)が、
キャラクター性はそのままです。

例によって書きあがらなかったのでとりあえず前編のみ投げます。
後編はちょっといつになるか未定です……なるべく早く頑張ります……


◆◆『八奈結び商店街を歩いてみれば』
大阪のどっかにある八奈結び商店街で織りなされる、
5人の少女のなにわ人情お約束劇!
⇒夏編は全話WEBでご覧いただけます(目次はこちら
⇒同人誌版の紹介はこちら/通販ページはこちら

◆◆『ミス・アンダーソンの安穏なる日々』
人類最強の女傭兵VS羊ショタ執事!
ごはんおおめのおねショタファンタジー!
全編WEBでご覧いただけます
 (※WEB・同人誌あわせて公開・頒布を一時休止しています)


それでは本文は追記からどうぞ!

=========================


 ある穏やかな春の日の午後――

 そこで、繁雄はハッと目を醒ました。最後の出前から店に帰ってきた後、カウンター席に腰掛け、お茶を飲みつつテレビを見ていたら、うっかりそのまま昼寝をしてしまったらしい。閉店札は下げていたものの戸は開けっ放しだったので、無用心という他ない。

 何事もなく平穏無事に居眠りを謳歌できたことに安堵しつつ、繁雄はそろそろ夜の準備をしようと立ち上がった。まずは具材の補充をして、と頭の中で段取りを組み立てているところに、ガラガラピシャン! とけたたましく戸が開いた。出かけた妹が忘れ物でもして帰ってきたか、と思って振り返る。


「和希! せやから静かに入れて何べんゆうたら――」
「シゲオ、かけうどん一杯!」


 予測に反する声が返ってきて、繁雄の怒号も喉でひっかかる。目をぱちくりと瞬いて見やれば、そこにはおよそ一年ぶりの顔があった。


「あんな?! お前、こないなとこで何してんねん!」
「こないなとこ、て、自分の店やろが」


 したり顔で言い返してくる少女――あんなは、後ろ手に戸を閉めると勝手知ったる、というように店に入って、カウンターの一席を陣取った。


「ほら早う、ウチ時間ないねん! かけうどん! 揚げ玉はサービスしてや!」


 満面の笑顔であつかましく要求してくるこの客は、なんと今をときめくアイドルだ。安平あんな、十二歳。現在売り出し中の子役である。

 去年の春、とあるいきさつが縁で、あんなと繁雄たち八奈結び商店街の面々にはちょっとした面識があった。その頃、あんなは出演していた朝の連続テレビ小説での演技が絶不評だったものの、この一年でめきめきと実力をつけ、近頃ではお茶の間のちょっとした人気者になっていた。特にバラエティで見せる〝お嬢様キャラ〟の時代錯誤感が受けているようだ。

 テレビではやんごとない淑女喋りを披露するあんなだが、実際のところはコテコテの大阪弁で、挙動も歳相応に粗野である。それを知っている繁雄はバラエティで見かけるたびついつい笑いそうになるのだが、同時にその頑張りに自然と背筋を正される思いになるのであった。


「いやぁ、お前……びっくりさせんなや」とりあえず注文を受けて支度をしながら、カウンターの中で繁雄は言う。「こない早く来るとか思わんやんけ」


 あんなは自分でピッチャーからコップに水を注ぎつつ、手をぷらぷらと振った。


「ああ、ちゃうちゃう。約束の履行はまだ当分先やで」


 去年、店中のうどんをほぼ食い尽くしたあんなに対して、繁雄は要求した代価は現金ではなかった。ひとつは店の手伝いをすること。そしてもうひとつは、彼女が売れっ子になったとき、どこかでこの店を紹介してくれ、ということだった。当の繁雄としては、実のところふたつ目の要求はあんなを納得させて早く帰らせるための方便だったのだが、あんなはきちんと憶えていたらしい。ふふん、と彼女は小さな胸を反らした。


「ウチはまだまだ、こんなもんとちゃうからな! もっとBIGになったときに、ババーンこの店宣伝したるわ。首洗って待っときぃや!」
「そりゃどうも」


 活きのいい彼女の大言壮語に苦笑しつつ、しかし決して嫌なものではない。少し心がじんとさせられるのを感じつつ、繁雄は首を傾げる。


「ほな、お前どうしてここにおんねん」
「オフや! 完全プライベート!」


 あんなはV字に切れ込んでいるシャツの襟元にぶら下げていたサングラスを装着してみせる。


「明日からこの近くでロケやからな! ついでに寄ったったんや!」
「へぇ、さよか」と納得しかけるも、繁雄の疑問は晴れない。「ほんならAさんも一緒とちゃうんか?」


 A、とは、あんなの専任マネージャーで、本名は不明である。モデルのように容姿端麗だが鉄面皮なのが玉にキズ、しかしあんなのことを想う気持ちは誰にも負けない青年だ。まだ幼いあんなの保護者としての役割も担っている。ので、大事なアイドルをひとりで野放しにするわけはないのだが……


「……お前もしかしてまたケンカしたんとちゃうやろな」
「……ピ~ピピ~♪」
「図星か! つうかごまかそうとして口笛吹くヤツ初めて見たわ! へたくそやし!」


 はぁ、と溜め息を吐いて、繁雄は熱湯にくぐらせようとしていたうどんのテボを脇に置き、店の台帳などを仕舞っている戸棚へと向かった。その中には、去年Aより渡された彼の名刺もある。それを取り出した繁雄は携帯電話の番号を確認すると、前掛けに入れていたスマートフォンを起動して手早く入力した。


「あかん! ヤツには連絡せんといて!!」
「アホか! ガキをひとりでプラプラさせておけるわけないやろ! またどうせしょーもないことでケンケンしとるんやろが!」


 あんなはガタリと椅子を蹴るようにして立ち上がる。テレビで見せるすまし顔はどこへやら、遺憾なく膨れっ面になっている。


「ちゃうもん! しょーもないことやないもん!! めっちゃ重要機密のためやもん!!」
「ほーかほーか、それも今から確認するわ。……あ、もしもし? Aさん?」


 電話が繋がったと分かるや否や、あんなは俊足で席を離れ、戸口に駆け寄った。そして、


「シゲオのアホ! 分からずや! おたんこなす!!」


 と言うだけ言って、即座に店外へ逃亡した。あいつ和希レベルやな……と内心呆れつつ、繁雄は電話先に注意を向ける。


「ああ、すんません。ほんで、今ちょうどあんながうちの店来まして……」


 でも逃げました、って言うのは気が引けるなぁ、なんて思っていると、スマートフォンからは「ツー・ツー」と着信終了を告げる音。


「アイドルがああならマネージャーもせっかちなもんやで……」


 そして、準備しかけたかけうどんを見てどうしようかと思案する繁雄の耳に、またもガラガラピシャン! とけたたましい戸の音が聞こえる。今度こそ和希か、と思って見やると、


「繁雄さん……あんなは……あんなは、どこに……」


 と、噂のAが通常の鉄面皮を崩し、息せき切らして立っていた。その鬼気迫った様相に情けなくも、ひぁっと悲鳴を上げてしまった繁雄である。


「えろう早い到着やな?!」


 思わず敬語も忘れてしまったものの、Aは意に介さずこめかみから汗を滴らせて返す。


「近くには来ていましたから……このタイミングでの着信でしたので、まずこのお店だと……それで、あんなは、どこに……」
「ああ、ほんま申し訳ないんですけど」頭を手拭い越しに掻きながら、繁雄は答える。「電話かけたとたん、逃げよりましたわ。多分近所にいるとは思うんですけど」
「そうですか、ありがとうございます……!」


 聞くなり、Aは駆け出そうとした。憔悴した彼に水でも一杯、と繁雄が声を掛けようとしたとき、Aは誰かにぶつかって店のすぐ前で転んだ。


「わわっ、すみません! ……って、Aさん?!」


 ぶつかった相手は、よくコケることでご近所さんでは有名ななずなだった。勿論彼女も転んでおり、スカートをパタパタはたきながら立ち上がる。Aも即座に立って、一礼した。


「いえ、こちらこそすみませんでした。なずなさん、お怪我は?」
「ああ、毎度のことなんで平気ですよ」と情けなく笑いながら、なずなは首を傾げた。「Aさんがおるゆうことは……さっきの、やっぱあんなちゃんやったんかなぁ」


 当然、それを聞き逃すはずはない。Aは掴みかからんばかりの勢いでなずなに詰め寄る。


「あんなを見かけたのですか?! どこで!!」
「えっ! いや、でも、すごい勢いで走ってったから、気のせいかもしらんし……」
「ちょお落ち着きましょうよ、Aさん」カウンターから出てきて戸口に立った繁雄がなだめるように言う。「なず、実はあんながな、さっきうちの店に来たかと思たらすぐ飛び出していったんや。走ってたんやったらソイツでまず間違いない。どっちに向かってった?」
「ええっと、角井さんの豆腐屋さんの前で擦れ違って……バス停のある通りの方に行った、と思う」
「ちゅうことはAさん、こっちまっすぐ行ってすぐ右曲がったら、あとは道なりですわ」
「おふたりとも、感謝します……!」


 礼もそこそこに、Aは駆け出した。その姿は角を曲がってすぐ見えなくなったが、スーツに革靴で走り抜ける様は、サングラスさえ足せば某バラエティ番組の狩人さながらであった。

 残されたふたりは、しばらくボケーっとそこに立っていた。そして繁雄が思い出したように、なずなに言う。


「なず、かけうどん食うてくか?」
「えっ、いいのん?」
「おー。あんなのキャンセル品やけどな」


 それを聞いて、なずなも苦笑を浮かべた。このほんの十数分で、嵐のように駆け抜けていった二人組に巻き込まれ、どっと疲れが襲ってくる。ちょっと休憩を取ろうと、ふたりは店の中に入って行った。


「でも、あんなちゃん何で八奈結びに来たんやろうね?」
「さぁ……本人曰く、めっちゃ重要機密らしいで。知らんけど」


   +++


「あ、いけない。忘れ物しちゃった」


 緊迫感なくそう言ったのは千十世だった。一緒にいた和希と美也が見上げる。和希が目を瞬かせて聞く。


「何忘れたん?」
「映画の前売り券。かばんにしまおうと思ってちゃぶ台のうえ置きっ放しだった」
「あかんやん! 今から何しに行くねんって話なるやん!」


 三人はこれから、少し離れたところにある大型のショッピングモールに映画を観に行くところだった。封切したばかりの春休み映画『チューえもん・アンド・ミスター・レイズィ~灼熱アッチチ砂漠の引きこもり~』に和希も美也も胸を躍らせていたのだが、運悪くバスが行ってしまった後だった。それでバス停でしりとりをしていたときに、千十世が重大な忘れ物を思い出したのである。ある意味、不幸中の幸いではある。

 ごめんごめん、と重さゼロミリグラムの謝罪を口にしつつ、千十世は時刻表を確認した。


「今からダッシュで戻れば間に合うかな……ふたりとも、ちょっとここで待っててくれる?」
「ええでー」と、和希。
「おにいちゃん、いってらっしゃい」と、美也。


 一歩を踏み出してすぐ、千十世は振り返る。普段は人を食ったような薄ら笑いばかり浮かべている顔が、真剣味を帯びる。


「絶対、知らない人について行ったらダメだからね。バスが先に来ても乗らないこと。破ったら……」


 と、そこまで言ってから、千十世は不気味な笑みを浮かべ、そして家へと走って行った。


「なんやねん! 最後までちゃんと言えや!」


 千十世の醸す得体の知れない恐怖感に若干ビビりつつ、和希はその背にツッコみを投げた。しかしその姿もすぐ見えなくなって、とたんに手持ち無沙汰になる。


「しゃーないな、しりとりの続きするか? なんで終わってたっけ?」


 と、話しかけるも、美也はあらぬ方向をじっと見てとりあわない。その視線を不思議に思い、和希もそちらを見やる。


「なになに? なんかある?」


 パッと見、何も変わったところはないが……と訝しがってると、美也がすっと一点を指した。


「あんなちゃん」
「へ?」


 その指先を見ると、そこには商店街の方から飛び出してきた少女が息を荒げながら、左右を見回していた。少し離れたところからでも分かるその秀麗な面差しは、確かテレビで見たことがあるような……と普段使わない頭を唸らせる。すぐにパッとひらめき、和希は思わず声を上げた。


「えっ、ウッソ!? 安平あんな?!?」


 兄によく怒られる和希の大声は、少女の耳まで届いたらしい。彼女は少し焦った顔をしながら、ふたりの方へ駆け寄ってきた。


「ごきげんよう、お嬢様方」と、芸能人らしく完璧なスマイルを浮かべて少女――安平あんなは言う。「でもごめんなさい、本日はお忍びで参りましたの。何卒、ご内密にして頂ける?」
「うーわっ! ほんまもんやー! すっごー!」
「かずねぇ、しー」


 美也が人差し指を口に当てる。慌てて和希は手で口を塞ぎ、コクコク頷く。あんなは少し安堵したように続けた。


「あなた方、この近くにお住まいならご存知ありませんこと? どこか、人気がなくて隠れるような場所を探しているのですけど……」
「へ? かくれんぼでもしてるん?」


 和希の問いに、あんなは苦笑しながら頷いた。それを受けて、和希はテンションを上げる。


「よっしゃ、ウチに任しとき! 絶対誰にも見つからん場所に案内して……」


 意気込む彼女の言葉は、突如割り込んだキキーっ、というブレーキ音にかき消された。

 それはすぐ傍らで起こり、三人が見やると車道にはバスの代わりに黒いワゴン車が停まっている。それがなんなのか彼女たちが把握するより先に扉が開いて、


「ちっ、面倒だな……まとめて確保しろ!」


 と中から濁声が飛んできた。それとほぼ同時に、覆面をした人物――性別すら判然としない、ダブついた黒服を着ている――が助手席から出てくる。


「あかん……!」


 あんなが和希と美也をかばうように立ちはだかる。

 しかし、遅かった――車から出てきたそいつは、彼女たちに向かって何やらスプレーのようなもので液体を吹きかけてきた。
 甘い香りを鼻に感じたと思った瞬間、三人はその場に崩れ落ちた。


「っ!? 美也!!」


 戻ってきた千十世は、遠目にも事態の異常さをすぐさま察知した。細い体が折れそうな速度で現場に急行するも、相手方が一枚上手だった。黒衣の不審者は手早く三人をワゴン車の後部座席に押し込むと、発進寸前の車内に自らも飛び乗った。駆けつけた千十世の手があと一歩で届く――ところで、ワゴン車は猛スピードでその場を走り去った。


「……っクソがァっ!!」


 苛立ちを露わに、千十世が地面を右足で蹴りつけた。その背後で、


「間に合わなかった……!」


 と、悲壮な声があがる。千十世が反射的に振り返ると、そこには去年ある縁で知り合った青年――Aがいて、息を上げていた。


「……千十世さん、申し訳ありません。貴方の妹まで巻き込んでしまった……」


 青年は一瞬悲痛な色を顔に滲ませたが、すぐいつもの鉄面皮に戻る。


「しかし、必ず私が連れ戻します。今しばらくお待ちください」


 そして踵を返しどこかへ走り出そうとした――その腕を、容赦なく千十世が掴んで引き止めた。


「まぁ待ってよ、Aさん」
「……すみません、今はお話をしている時間が――」


 Aは焦燥を浮かべながら振り返ったが、一瞬頭が真っ白になるほどぎょっとした。
 千十世は笑っていた。青筋が浮かび、表情筋の随所が強張った、凄絶な笑顔だった。


「俺も連れてってくれるやんな?」



⇒⇒⇒後編に続く


おねショタ ファンタジー 創作小説
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Author:世津路章
一次創作小説を書いています。

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◆作品
当ブログ及び小説家になろうにて、『ミス・アンダーソンの安穏なる日々』『八奈結び商店街を歩いてみれば』を連載しました。前者はおねショタ小説で、2017年7月に電撃文庫より刊行されました(無敵の女傭兵ミス・アンダーソンを抹殺すべく派遣された羊ショタ執事悪魔(レベル1)のどたばたコメディ)。後者は大阪のどっかにある商店街が舞台のなにわ人情お約束劇です。

アイコンは岡亭みゆ様にご制作頂きました。

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