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口絵1

『ミス・アンダーソンの安穏なる日々

小さな魔族の騎士執事』

7/7(金)発売記念 カウントダウン企画


7月1日~7日までの間、日替わりで掌編をUP!

7/6: 『お月見より団子』

本編は追記からどうぞ。

おねショタ ファンタジー 一次創作

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 日によって見える月の形が異なる、というのをアーティは人間界に来て初めて知った。彼の故郷である魔界では、常に火山からの煤煙が薄く空を覆っていて、その先に何があるのか、はっきり目にすることはできないのだ。

 その日は一年の中でも月が一番大きく、鮮やかに見える夜だとのことで、一般家庭でも月見をして楽しむ風習があるのだという。それを聞いてアーティは奮起した。

 月見のお供になるのは、主役である銀環を模したまん丸いパイ。普通に焼き上げると黄金色になって太陽のようなので、粉砂糖を一面にまぶして真っ白にした。中に入っているのは甘みのある夢見イモをたっぷりの砂糖とともに練り上げた餡で、アクセントとして金環クルミの砕いたものを入れてある。そのほか、口直しに各種野菜の酢漬けに、燻製肉やチーズをスライスしたもの。それからオトナの夜更かしには欠かせない葡萄酒も、奮発してちょっとお高いヤツを揃えている(もっとも、自分では飲めないので別にジュースを用意した)。

 これらをチビチビやりながら、うつくしい月夜を愛でよう……などというアーティの目論見は、開始十分で打ち砕かれた。


「ミス・アンダーソン! 起きてください、ホラ、雲が晴れてきましたよ!」
「うーん…………もう吞めませんわぁ…………むにゃ」


 アーティの隣で椅子にふんぞり返るようにして、人類最強の女傭兵がだらしなくよだれを垂らして眠っていた。彼女はアーティが丹精込めて準備したお月見セットを一瞬で完食し、その後数本酒のボトルを追加しかっ喰らって、そのままゴートゥースリープ。今回の趣旨とは盛大に反している……のだが、


「はぁ……あなた相手に風流を持ち掛けた僕がバカでした」


 こうなることを予測しなかった自分を反省しつつ、風邪を引かせてはまずいとアーティは家の中へ毛布を取りに戻る。その背中を、いよいよ輝きを増した月が優しく照らし出した。


 次の日、二日酔いで仕事をサボったアンダーソンを引っ張り出そうと彼女の秘書が家にやってきて、アーティと鉢合わせしてひと騒動起こるのだが、それはまた別のお話。


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◆作品
当ブログ及び小説家になろうにて、『ミス・アンダーソンの安穏なる日々』『八奈結び商店街を歩いてみれば』を連載しました。前者はおねショタ小説で、2017年7月に電撃文庫より刊行されました(無敵の女傭兵ミス・アンダーソンを抹殺すべく派遣された羊ショタ執事悪魔(レベル1)のどたばたコメディ)。後者は大阪のどっかにある商店街が舞台のなにわ人情お約束劇です。

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