回り込み解除

C君が目覚めると人としてのC君は既になく、
物のとしてのC君だけがあり、
それはもはや彼自身の物でなく、そう、“少女”の物だった――

「少女+○○願望+キーアイテム」をコンセプトに贈る、奇妙な物語の第一弾。

第20回電撃大賞 1次選考通過作品(2次落ち)


【短編/約15,000字】
【A6|50円|44P ※頒布終了※】

※※追記からお試しでお読みいただけます※※



 君は手足を思いっきり伸ばすことができる?


 何の疑いもなく、自分の意志で、まっすぐにさ。あぁ、胡乱げにこっちを見やりながら何も言わずに示してみせる、その顔を見ればわかる。行為としては確かに――四肢はピンと張ってるはずなのに――そうしている、そのはずなのに。

 伸び切っていない――そんな気がしない?

 その両手を、両足を、押し込めようとするものを、感じない?

 僕は感じる。この右手も、左手も、大地を踏みしめている二本の足も、自分の思うようにのびのびと広げられたことなど、あったためしがない。あるいは、物心つく以前にはあったのかもしれない。でも、人間として存在する前の記憶が人間となってしまった今、何の慰めになるんだろう。

 そう、それは君だけじゃない。僕だけじゃない。そんな連中、あっちこっちにいるのさ。連れと馬鹿笑いしながら往来を闊歩する女子高生。駐禁を取り締まる警察官。しきりにスマフォ弄ってるフリーターの男。でも多くがね、気づかないふりしてる。もしかしたら本当に、気づいてないかもしれないね。だって空気のようなものだもの。


 まるで始終、見えない壁が自分の周囲に巡っているかのようだ。


 あるときそれに気づくと、目の前のもの――壁の向こうのものが見えなくなってしまう。真っ暗になるんだ。もう、何もないような気がするんだよ。箱の中に閉じ込められてるみたいな、さ。


 さぁ、折角こうして出逢えたんだ、もっと気楽に話でもしようよ。箱の中から出ることの出来ない憂さだって、そうすりゃちょっとは紛れるさ。
 
 そうだね、例えば――僕らの同類C君が、箱を出るに至った顛末なんてどうだろう。


⇒⇒⇒本編に続く
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当ブログ及び小説家になろうにて、『ミス・アンダーソンの安穏なる日々』『八奈結び商店街を歩いてみれば』を連載しました。前者はおねショタ小説で、現在公開休止中です(無敵の女傭兵ミス・アンダーソンを抹殺すべく派遣された羊ショタ執事悪魔(レベル1)のどたばたコメディ)。後者は大阪のどっかにある商店街が舞台のなにわ人情お約束劇です。

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