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連ドラ中からすきだったのでこの前のスペシャルが嬉しくて、
「わーい待ってましたーうへへ」とご機嫌かつお気楽に観ていたら思いのほかダメージを受け、
なんかもう…光生…光生おおおおおおおおお!
となってしまったので心落ち着くまで書いてみる。

ちなみに『最高の離婚』のあらすじはこちら。

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濱崎光生(瑛太)と結夏(尾野真千子)は互いに正反対の性格な夫婦。
光生は極度の神経質症で、仕事も人づきあいも大の苦手。
一方の結夏はおおらか…と言えば聞こえはいいが大雑把でずぼら。

事あるごとに衝突していたふたりはついに些細なことがきっかけで離婚する。
…が、ずるずると光生の家に結夏が居座り、奇妙な同棲生活が続く。

同じ頃、濱崎家の近くに光生の大学時代の元カノ・灯里が(真木よう子)引っ越してくる。
突然の再開に喜ぶ光生だったが、
灯里は美大の講師をしている上原諒(綾野剛)と結婚していた。
一見幸せそうに見える上原家だが、亮には複数の女性の影があり、
光生は灯里のことが気になり始める。

その一方で、離婚してせいせいしたはずの結夏との関係も変化を見せ始め、
次第に二つの家庭は複雑に絡み合っていく。
果して光生と結夏の離婚は、どんな結末になるのか?

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情緒豊かな目黒川の光景や、濱崎家に住む2匹の猫(はっさくとマチルダ)、
また主役4人に負けず劣らず個性派ぞろいの脇役と、見どころが盛りだくさんです。

でも何よりすごいのは脚本と演出の練りこまれ方と、主役4人の熱演。
離婚という重くなりがちなテーマをコミカルに笑いだくさんに描きながら、
それでも結婚とはじめとする現代の人間関係を、
独特の視点できめ細やかに映し出しています。

特によく憶えているのが1話見たときに
「瑛太のスタイリストさんダメじゃん…あれじゃ髪の毛やばく見えるよ…」
とか思ってたらそれがガチでそういう設定だった時な。
そして物語にも絡んできた時な。
その他にもこんな細かい演出が盛りだくさんなのな。びびる。

細かく語りだすと止まらないからとりあえずここまでにしておいて、
「日本のドラマまだまだ元気じゃん!」と思える傑作だったので、
気になった方はぜひご覧ください。ホントおもしろい。


前置きはここまでで、追記からスペシャルについてつらつら書きます。
ネタバレなのでお気をつけて。
 もう最後に目黒川を一人で歩く光生の姿が目に焼き付いて離れないんだよ。
 軽い気持ちで見てた。「あースペシャルやっぱやるんだー! 上原さんとこに子どもが生まれて、濱崎家も再婚して、ハッピーエンドな感じで終わるかなー終わるよねーわくわく」とか思ってたら坂元脚本そんな甘くなかった。まさかの再婚持ち越し…どころか、本当に、“さようなら”。結夏実家に帰った。やりおった。やりおったで。上原さんとこの問題が上手いこと片付いたのに安心しきってた。

 『最高の離婚』は、ラブコメなはずなのに全然甘くない。
 普通だったらフタをするようなきっついとこまで全部登場人物たちに向かい合わせて、結論を出させる。それが例え、視聴者の予想や希望を裏切ることでも、登場人物たちが本当に幸せになるにはどうすべきなのか、彼らに考えさせて、選ばせて、決めさせる。

 視聴者の誰もが期待したはずの、光生と結夏の再婚。「僕の方が、彼女を幸せにできます」、そう光生に言い切った黒部の言葉を、結夏は断ってカシオペアを降り濱崎の家に帰った。そこで光生に出された婚姻届を、彼女は書けないと言った。そこからの結夏の心情吐露が、相変わらずすごい。本当に結夏が子どもをほしがった理由(自分へのコンプレックスからくる母親になることへの憧れ)と、自分自身が犯してしまった罪への罪悪感。そこからもう一緒にいれない、という結論を彼女は導き出す。それは一視聴者としてすごく納得したくなかったけど、納得せざるを得なかった。台詞であれだけ魅せれるのは、脚本の良さと、そこに記された結夏の本質を完全に理解した尾野真千子さんの演技の賜物なんだけど、それはさておき。

 これに一体光生はどう返すんだ…と思ったら、わかった、でも、いやだ、でもなく、「結夏がすきだよ」。そして二人で最後の(あああああああ)夜を過ごし、朝、光生の隣に、もう結夏の姿はなかった(光生おおおおおおおおおおお)。目覚めなくてもぬくもりが消えていることを感じ取ったんだろうか、眠る光生の閉じられた目から涙が一筋…このシーンは本当にきれいで、それだけに光生の悲しさと切なさがくっきり浮かび上がって見える。

「いや、すきどうしなんだったらパッとくっついときゃいいじゃん」という身も蓋もないツッコミも、結夏の告白とそれを受け入れた光生を前にしては引っ込んてしまう。やっぱそう簡単にはいかないんである。ありのままの相手がすきなのに、ありのままの相手と一緒にいて得られるのは自分の幸せじゃない。それで合わせてしまえば、今度はありのままの自分が歪んでしまう。結夏のその言葉が痛いほどわかったからこそ、光生は引き留めたかったのに、いっしょにいたかったのに、彼女を行かせた。自分も結夏がすきだからこそ。

 結婚ってなんなのさ、ってことへのこのドラマの答えは、連ドラの時に結夏が言った言葉なんだと思う。初島(窪田正孝君がまだいい演技するんだこれが)が「自分が結夏さんを幸せにします」ってプロポーズしたのことへの返答で「幸せになるために結婚するんじゃないから」と結夏は答える。実はこのときはこの台詞が腑に落ちなくて、「じゃあ何のために結婚するのさ」とことあるごとに悶々と考えてた。でもスペシャルを見てやっとわかったんだ。自分だけが幸せになるために結婚するんじゃない。自分も、相手も幸せになる。幸せにする。それが結婚。

 お互いがありのままのお互いを好きだからこそ、本当の幸せは掴めない。だから別れる。…これを恋愛ドラマでやった例ってそんなないんじゃないか…しかも結婚した若いカップルで…(私は『不機嫌なジーン』ぐらいしか思いつかないや…あれはそもそもくっつきすらしなかったしな…)。ともすれば快楽ばかりを垂れ流すものになってしまう表現物が多い中、本当によくやってくれたなぁと思う。


 でもさあああああああああ! くっつけよおおおおおおお! くっついてくれよおおおおおおおお! 二人でまた目黒川歩いてくれよおおおおおおおお! 家でどうでもいいことで喧嘩しながらマチルダとはっさく(※猫)と戯れろよおおおおおおおお!


 と一視聴者は叫びたくなるのです。ひとりで動物園行った帰りに目黒川を歩く光生を見ていると余計に。

 救いなのは、別れたきりで終わらなかったこと。光生が、自分の言葉でもう一度「自分と結婚してください」と結夏に手紙で言えたこと。結夏が黒部のいる旭川に行かず、実家に戻ったこと。もしかしたら、結夏のおなかの中に新しい命が宿っているかもしれないこと。二人の絆が完全に途切れていないことを示してくれたこと。

 主要キャスト4人ともが個性強すぎであれなんだけど、やっぱり『最高の離婚』は光生の物語なんだと思ってる。連ドラの全10話をかけて、光生はやっと人の和に入ることができるようになった。スペシャルを経て、ありのままの結夏に向き合えるようになった。だから次はきっと、結夏と手をとって、今度こそ一緒に生きることができるようにだってなれる。今回諒が“もう一つの人生”を諦めて、やっと灯里を選ぶことができたように(天津甘栗!)
 今はまだ辛いから離れたけど、人って変わる。だから、お互いがお互いを歪めなくても、お互いの幸せになるように変われるときって、光生にも結夏にも来ると思うんだよ。

 だからフジテレビさんはまたスペシャル作ってくださいね? 今年下半期で全然かまいませんので。


 と、シリアスなところばっかピックアップしてべらべら語ったけど、これコメディの方が強いんだぜ全体的に…? 開始15分腹筋がすさまじい被害を受けたぜ…? キャンプしに行くってだけでどうしてあんなに面白くできるんだろう。

 大体満足したので終わる。
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当ブログ及び小説家になろうにて、『ミス・アンダーソンの安穏なる日々』『八奈結び商店街を歩いてみれば』を連載しました。前者はおねショタ小説で、現在公開休止中です(無敵の女傭兵ミス・アンダーソンを抹殺すべく派遣された羊ショタ執事悪魔(レベル1)のどたばたコメディ)。後者は大阪のどっかにある商店街が舞台のなにわ人情お約束劇です。

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